眼瞼・顔面けいれん・痙性斜頸

眼瞼けいれんとは

目の周りの筋肉がけいれんして、目があけにくくなり、瞬きがうまくできなくなる状態で、まぶしい、目の周辺が不快、痛い、目が乾く感じなど感覚過敏があるのも特徴です。さらに抑うつ、不安、不眠など精神症状を持つ人も半数近くあり、うつ病などと間違えられることもあります。
治りにくい病気で、40~50歳以上に多く、女性は男性の2.5倍もかかりやすいものです。目がまったく開けられないほど重症な例は少ないですが、一見しただけでは分からないような軽症例を含めると、日本には少なくとも30~50万人以上の患者さんがいると推定されます。

片側顔面けいれんとは

片側の目をつぶるための筋肉、笑うときに収縮する筋肉、口の開閉にかかわる筋肉が勝手に収縮したり、収縮と弛緩を繰り返してピクピクしたりする病気です。40歳以上に多く、男女比はほぼ1:2です。

初期の頃は、目の周囲だけが気になりますが、だんだん片側の顔全体の筋肉の勝手な運動が出没するようになります。このピクピクは話したり、笑ったり、食べたり、目や口を動かしているときに出やすく、また緊張すると出る人もあります。なかには、耳鳴りを伴う例もあります。片側の顔面神経が脳幹から出てくるところで、正常な血管(動脈)とぶつかって、勝手に興奮させられている場合が、原因として最も多いものです。顔面神経は、上に示したような筋肉の運動を起こしている運動神経で、痛みの神経とは無関係ですので、痛みは伴いません。なかには血管でなく腫瘍や血管瘤が神経にぶつかっていることもあるので、一度は画像診断しておくほうがよいとされます。また、顔面神経麻痺の治りかけに出現する症例もあります。両側に起こることは非常にまれです。また、健常な人に、過労や睡眠不足を契機に、眼周囲の筋肉のごく一部だけに虫の這うような勝手な動きの出る「眼瞼ミオキミア」という状態があり、ときどきこの病気と間違われます。しかし、これは顔面けいれんとは無関係のもので、生活の改善で自然に治ります。

痙性斜頸とは

痙性斜頸は、首や肩の周りの筋肉が異常に緊張することによって、頭の位置が正常ではなくなってしまう病気です。多くの場合は、他の症状が認められない痙性斜頸(原発性)ですが、脳性麻痺や向精神薬などの薬物使用によっておこる痙性斜頸(薬物性)もあります。痙性斜頸は脳内の運動を抑制するシステムが機能障害を起こすことによって生じると考えられています。 なお、患者さん自身の問題として、外見が他人と違ってしまっているために、周囲に対して引け目を感じ、気後れするといった心理的な問題を起こしてしまうこともあります。